派遣やフリーが労働人口の半分に?ギグ・エコノミーとは?
2017.03.20
日本の非正規雇用は4割になっています。経済が右肩上がりで終身雇用が当たり前だった頃には考えられないことですが、いま日本は誰でも転職をする時代に突入しています。
海の向こうのアメリカは、日本よりも転職が当たり前の国です。ひとつの職場にとどまる長さは平均4.4年であり、アメリカ人男性は一生のうちに平均11.4回職場を変えるという数字が出ています。
更にアメリカの労働人口の25〜30%はcontingent workerです。Contingent workerとは臨時雇用の労働者です。これに含まれるのは、派遣社員、フリーランス、季節労働者、そしてネットやアプリを通して活動している労働者。たとえばウーバーの運転手です。アメリカの臨時雇用者数は2020年までに労働人口の40%を超えると予想されています。
このような経済をギグ・エコノミー(gig economy)と言います。ギグとは、特定の会社と長期の関係を持たないような仕事を指します。
Intuitによれば、ギグ・エコノミー化が進むことで、世界は大きく変わります。正社員の職を探すことがより困難になり、複数の仕事を掛け持ちすることが普通の世の中になるのです。
ギグ・エコノミー化の原因として挙げられるのは、デジタル化です。これからより多くの仕事が機械で代替できるようになるため、人間のスタッフに頼る必要がなくなります。また、財政難によって現在の雇用規模を維持できなくなる会社も増えるでしょう。
複数の仕事を掛け持ちするとなると、福利厚生を得ることが難しくなるでしょう。しかし、ギグ・エコノミーがもたらすのはデメリットだけではありません。
正社員は安定している反面、やりたくない仕事もしなければなりません。一方でプロジェクトごとに募集がかかるギグ・エコノミーなら、自分がやりたい仕事だけを選ぶことができます。とくに、やる気のあるフリーランスにとっては大きなメリットになります。
また、ギグ・エコノミー化が進み、雇う側と雇われる側の選択肢が増えれば、いつどこで働くのかも選びやすくなるため、臨時雇用者はワークライフバランスの取れた生き方ができるようになります。
それでは、これからどのようなギグが増えるのでしょうか。マッチングサイトCareerCastの予測によれば、これから以下の職業の需要が今年から2024年にかけてアメリカで増えるそうです。
- 運送トラック運転手
- マルチメディア・アーティスト
- 大工
- 放送技術者・音響技師
- 会計士
- 経営アナリスト
- ソフトウェア・デベロッパー
- 作業療法士
- ウェブ・デベロッパー
- 通訳者・翻訳者
やはり経営者目線で考えたとき、このリストに含まれる仕事は「長期で雇用するよりも、プロジェクトで必要になったら雇いたい」というオンデマンド的な専門職が多いと思います。このようなギグはアメリカだけでなく、これから日本でも増えるのではないでしょうか。
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