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「デッドプール」の予告編を見て、英会話の力を上げよう

2016.05.31

今回ご覧になって頂きたいのは、スーパーヒーロー映画「デッドプール」(原題 Deadpool)の予告編です。

「このアメコミ映画は全米で大ヒットしました!」と言われると、「へえ、このキャラクターはアメリカでそんなに人気なんだ」と思うかもしれません。しかし、デッドプールはもともと本国アメリカでは知名度の低いキャラクターでした。たしかに一部の漫画ファンの間では人気ですが、決してバットマンやスーパーマンほど誰でも知っているような存在ではありません。

しかも、このキャラクラーにはあまり派手な能力もなく、戦闘能力が高い以外は X-men のウルヴァリンと同じように驚異的な治癒力があるだけです。(つまり誰かに拳銃で撃たれてもすぐに治ります)

デッドプールが破る第四の壁

では、デッドプールのどこがそんなに魅力的なのでしょうか。まず、マーベル・コミックにしてはバイオレンスの描写が激しいことが挙げられます。そしてもう一つは、よく喋ることです。彼はとにかく喋るので Merc with a mouth(お喋りな傭兵)というニックネームがついています。

加えてデッドプールは、第四の壁を破ることでも有名です。第四の壁というのは、演劇や映画や漫画などのフィクションの世界と、観客や読者などの現実世界の境界を表す概念です。その壁が “破られる” というのは、フィクションの世界のキャラクターが、自分が想像上のキャラクターであることを自覚するときに起きます。

最近の海外ドラマで “第四の壁を破っている” のは、「ハウス・オブ・カード 野望の階段」です。ケビン・スペーシー演じるフランク・アンダーウッドという政治家は、カメラの向こうにいる視聴者に向かって話しかけます。また、日本で第四の壁を破るキャラクターとして有名なのは、古畑任三郎ではないでしょうか。



リブートされたデッドプール

このユニークなキャラクターは、実は2009年の「ウルヴァリン X-men Zero」にも同じ俳優(ライアン・レイノルズ)で脇役として銀幕デビューしています。

しかし、Merc with a mouth というニックネームにもかかわらず、なぜかデッドプールは手術で口を塞がれたキャラクターとして劇中に登場します。しかも目からビーム、手から刃という原作からあまりにもかけ離れた設定に、「ウルヴァリン」は最低のアメコミ映画としてファンの脳裏に焼き付いてしまいました。

今作は、DCコミックの映画化作「グリーン・ランタン」も大失敗させてしまったライアン・レイノルズが、名誉挽回のためにソロ主演作として再映画化したものです。

前述のようにデッドプールは知名度が低いので、スタジオはもともと今作の制作に乗り気ではありませんでしたが、ライアン・レイノルズ(もしくは監督かプロデューサー?)が YouTube にリークしたテスト映像が大反響だったため、映画化が決定したそうです。

また今作は一応、2000年から続いている X-men シリーズの外伝だそうですが、X-men ユニバースは Marvel Cinematic Universe と違って continuity(*つじつま、連続性)があまりに適当なことで有名なので、あてにしない方が良いでしょう。

ちなみに日本で「デッドプール」は R-15+ 指定になっています。スーパーヒーロー映画だからといって、子供向けの映画ではありません。大人向けです。アクション・シーンは残酷ですし、セックス・シーンもありセリフは下ネタ満載です。くれぐれも家族で劇場に足を運ぶようなことはないようにしてください。

そろそろ英語の勉強をしましょうか・・・

それでは予告編を見てみましょう。


スラングが多いので、セリフを聞き取るのは難しかったかもしれません。しかし、予告編の英語をすべて聞き取れなくても、映像を見れば、ウェイド・ウィルソン(デッドプール)が怪しげな男に誘われて手術をして、スーパー能力を手に入れたが、顔が醜くなってしまった、という大まかな筋書きは理解できると思います。

ところで、ウェイド・ウィルソンはなぜ手術が必要だったのでしょうか?これはオープニングのセリフでわかりますが、聞き取れましたか?

ウェイド・ウィルソンの恋人

I love you Wade Wilson. We can fight this.

ウェイド・ウィルソン(デッドプール)

You’re right. Cancer is only in my liver, lungs, prostate and brain. All things I can live without.

この皮肉なセリフを理解できましたか?癌におかされているウェイドに、恋人は「一緒に戦おう(癌を克服しよう)」と言いますが、「癌は肝臓、肺、前立腺と脳に広がっているだけだ。全部なくても生きていける臓器だ」と返事します。つまり彼は冗談ながら「無理だよ」と言いたいのです。

また、スラングを知らなくても聞き取れるのは、1:48のセリフだと思います。眼鏡の人が、デッドプールの変わり果てた顔を見て、何を言ったのかわかりましたか?

 God, you’re hard to look at. You look like the topographical map of Utah.

眼鏡の人は、デッドプールの醜い顔を見て「ユタ州の地形図のようだ」と言っています。「デッドプール」はスーパーヒーロー映画ですが、コメディ色の強い不思議な映画であるのはお分かりいただけたでしょうか。

ただ残念なのは、劇中のセリフにはアメリカの芸能や時事ネタ(pop culture reference)が満載なので、日本語字幕版ではかなりの脚色が予想されることです。リスニング力の高い人は、字幕を読みながら「いま本当にそんなこと言ったか?」と思う瞬間が出てくるはずなので、気になったセリフは鑑賞後に(英語を使って)グーグルで調べてみてください。

「デッドプール」のレンタルは10月開始です。

Category:コラム:オーパス通信,映像

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