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「シビル・ウォー」の予告編を見て、英会話の力を上げよう

今回ご覧になって頂きたいのは、「キャプテン・アメリカ:シビル・ウォー」(原題 Captain America: Civil War)の予告編です。

キャプテン・アメリカのことをあまり知らない方でも、これがシリーズものであるのはなんとなく察しがつくでしょう。またすこしでも興味をもった方なら「これはシリーズ何作目なの?」と思うかもしれません。

もっともシンプルな答えは “シリーズ3作目” です。しかしもっと細かく説明すれば、Captain America: Civil War はキャプテン・アメリカのシリーズ3作目であると同時に、

・Marvel Cinematic Universe (MCU) の13作目

・MCUのフェーズ3の第1弾(フェーズというのは、テレビでいうシーズンに相応するもの)

・アイアンマンのシリーズ4作目とも呼べるエピソード

・アベンジャーズ2.5とも呼べる外伝的エピソード

だとも言えます。

MCU の予備知識のない方は、おそらく上記の記述に混乱すると思うので、これから説明を始めようと思いますが、かなり長くなるので、はやく映画の予告編をみて英語の勉強をされたい方は、YouTube の埋め込み画面までスクロールしてください。

アメコミでは当たり前のshared universeとは?

Marvel Cinematic Universe の “Marvel” とは、アメリカの漫画出版社「マーベル・コミック」のことです。この会社はキャプテン・アメリカ以外にも、スパイダーマン、ファンタスティック4、X-Men などの漫画を出版しています。ちなみにマーベルのライバルは、DCコミック。こちらはスーパーマンやバットマンの出版社です。

アメコミは月刊が主流であり、日本の漫画とちがって多くが全編カラーです。また大きな特徴は、出版社が全キャラクターの知的財産(IP)を保有していることです。

そのため一つの漫画のキャラクターを、別の漫画に登場させることが可能になります。スパイダーマンがアイアンマンの漫画に登場したり、ミュータント集団 X-menのメンバーが超人集団アベンジャーズに加わるような筋書きは日常茶飯事です。

その結果誕生したのが、shared universe。つまり、“共有された世界” が計画的に作られるようになったのです。週刊少年ジャンプを例にすれば、ルフィも悟空もキャプテン翼も同じジャンプの世界の住人なのです。マーベル・コミックのshared universe は Marvel Universe、DCコミックの世界は DC Universe と呼ばれています。

日本の漫画はやはり作者あっての漫画ですが、アメリカは違います。キャラクターそのものが知的財産なので、作者も途中で変わります。絵のタッチどころかキャラクター・デザインもまるっきり変わるのです。

しかし果たしてこれが日本でまったく考えられないことかといえば、そうではありません。手塚治の作品は、他の作者によって死後何度もリメイクされていますし、「ゴルゴ13」にも複数の作画スタッフが存在します。




日本の漫画ファンにとって、漫画キャラクターとその作者は切っても切り離せない関係かもしれませんが、アメリカでは「作者の創造物」というわくをこえて、一つの独立した抽象的な概念になっているとも言えます。それは、違う俳優やスタッフで繰り返しシェイクスピアの舞台をするようなものです。すなわち見る側や読む側が楽しむのは、新しい解釈なのです。

手塚治のキャラクターたちは、この道をすでにたどっていますし、日本の漫画界でも製作体制のさらなる合理的分業化や IP の効率的な運用が進めば、日本の月刊少年誌で shared universe が当たり前になる日もいずれ訪れるのではないでしょうか。

Shared universe には、一つの漫画だけでは描けなかった筋書きも、複数の漫画で展開できるようになる利点がある一方、逆にプロットが複雑化しすぎるという欠点も持ち合わせています。

同時進行している複数の漫画すべてのストーリー展開やつじつまをあわせるには、相当な計画性がプロジェクトに求められますし、作者間でのスムーズな連携作業が必要です。これが途中で破綻してしまうこともあって、Marvel Universe はこれまで何度もリブートされています。

また、shared universe 全体で起きていることを正確に把握しているのは、一部の熱烈なファンだけだとも言われています。

マーベルの凄腕プロデューサー ケビン・ファイギ

このように良くも悪くもアメコミの世界では当たり前だった shared universe を、映画の世界で再現しようじゃないか!と考えたのが、マーベルの敏腕プロデューサーであるケビン・ファイギです。

ファイギは、もともとマーベル・コミックを原作とした映画製作に携わっていました。しかし、自分の愛するマーベルのキャラクターたちが、大手スタジオによって忠実に映像化されていないことに不満をもっていた彼は、独立したスタジオを創設して、自分たちでマーベルのキャラクターを映像化しようと、マーベル・コミックに話を持ちかけます。

そうしてマーベル・スタジオは、メリルリンチの投資を受けて2004年に本格始動します。当時、X-men やスパイダーマンなどの権利は大手スタジオにわたっていましたが、まだ手元に残っていたアベンジャーズの IP にファイギは目をつけます。

ファイギは、アベンジャーズのメンバーである戦う実業家「アイアンマン」、緑の巨人「ハルク」、北欧の神「ソー」、超人兵士「キャプテン・アメリカ」をそれぞれソロ主演作として映画化してから、その4人を「アベンジャーズ」で競演させるという壮大なプロジェクトを画策します。

しかし、漫画出版社が独自にコンテンツの映画製作に乗り出すだけでなく、shared universeを映像化するという前例なんてありません。ハリウッドにいる誰もが、そんな野望は絶対に失敗するだろうと思いました。

が、マーベル映画第1弾「アイアンマン」(2008年)は大ヒットを記録します。ファイギはそれに続いてハルク、ソー、キャプテン・アメリカの映画化も成功させ、2012年には念願の「アベンジャーズ」も完成させ、その結果は記録的大ヒット。こうして Marvel Universe の映画版 Marvel Cinematic Universe が生まれたのです。

快進撃はその後も続き、アイアンマンはパート3 まで製作され、キャプテン・アメリカは今作で3作目、ソーもパート2まで公開されています。また、認知度もそれほど高くなかったマーベル版スターウォーズとも呼べる「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」も大ヒット。

アベンジャーズの続編である「エイジ・オブ・ウルトロン」も成功させた後には、フェーズ2の最後を飾る作品として、アリのように小さくなれる泥棒「アントマン」の映画版も製作されました。

ファイギは結果として、これまでにないフランチャイズ映画を作りあげましたが、彼の凄さはそれだけではありません。驚嘆に値するのは、彼が様々な映画監督に各キャラクターの映像化を任せながらも、 shared universe の一貫した世界感を全作品において維持しているところです。

何千人というスタッフのトップに立ちながらマーベル・スタジオを指揮している彼は、ある意味現場の監督よりもクリエイティブなリーダーしての力量があると言えます。Auteur(作家)という言葉は、もともと個性的なフィルムメーカーを指す言葉ですが、ファイギを Auteur producer、つまり “作家的プロデューサー” と呼ぶ人もいるようです。

ファイギは、「スターウォーズ」の歴史的ヒットのみならずキャラクターグッズ販売(これも IP の一種ですね)と特撮技術のイノベーションで帝国を築いたジョージ・ルーカス、世界初のフル CG 長編アニメ映画を世に送り出したピクサーの創始者ジョン・ラセターにつぐ映画界の革命児だと言えるでしょう。

シビル・ウォーにはスパイダーマンも参戦!

さて、今作の「シビル・ウォー」に出演するのは、主演のキャプテン・アメリカはもちろん、アイアンマンやアントマンの他、スパイダーマンも登場します。もともとスパイダーマンの映画化権は Sony にありましたが、この IP もファイギの驚異的な交渉力によって、条件つきで取り戻すことに成功しています。

また、すでにマーベル・スタジオによるスパイダーマンのソロ主演映画の製作が決まっていますが、タイトルはずばり Spiderman: Homecoming。

Homecoming は文字どおり “帰宅” や “帰郷” という意味ですが、この言葉はアメリカの高校や大学で旧教職員や OB を招待して行う学校行事のことも指します。今度のスパイダーマンは、高校を舞台にした青春モノになるそうなので納得のタイトルですが、明らかに権利元のマーベルにスパイダーマンが帰ってきたことも象徴しています。

そろそろ英語の勉強をしましょう・・・

それでは、「シビル・ウォー」の予告編を見てみましょう。予告編を1つ見るだけではストーリーを十分に理解できないと思うので、今回は2つ見てみたいと思います。

予告編1


予告編2


どうですか?聞き取れましたか?アイアンマン(トニー・スターク)を演じるロバート・ダウニーJr.はとにかく早口なので、彼の英語は聞き取りにくいと思いますが、頑張って何度も聞き直してみてください。予告編1の1:28と予告編2の0:59のセリフは同じですが、わかりましたか?

トニーはキャプテン・アメリカ(スティーブ・ロジャース)に向かってこう言い放ちます。

Sometimes I just wanna punch you in your perfect teeth.

「たまにお前の完璧な歯を殴りたくなる」

トニーがスティーブに対してイライラしているのが、はっきりとわかるセリフです。

今作の副題になっているのは、Civil War。内戦や内乱という意味です。アベンジャーズのメンバーがスティーブ側(チーム・キャップ)とトニー側(チーム・アイアンマン)にわかれて、空港で衝突するシーンもありますが、これを ”内戦” と呼ぶのはすこし大げさかもしれません。このタイトルはアベンジャーズの “仲間割れ” を示唆していると考えて妥当でしょう。

が、果たして何が彼らをそれに追い込んだのでしょうか?ポイントとなる要素は、2つあります。一つは、Sokovia Accord です。Sokovia Accord の文字は予告編1の0:57でちらっと映ります。Accord というのは、条約や協定という意味です。そしてソコヴィアは、アベンジャーズ2に登場した架空の国です。つまり「ソコヴィア協定」ということになります。

これは予告編2の映像(0:20 – 0:32)を見てもわかるように、アベンジャーズが戦うたびに collateral damage (巻き添え被害)を引き起こしてしまうので、ソコヴィア協定で彼らの活動を制限しようという話が、国際社会で持ち上がります。

これに賛成するのがトニーです。彼のスタンスは、予告編1の1:22のセリフと予告編2の0:46のセリフで理解できます。聞き取れましたか?

予告編1 (1:22)

If we can’t accept limitations, we’re no better than bad guys.

「制限を受け入れられないのなら、俺たちは悪者と同じじゃないか」

予告編2 (0:46)

We need to be put in check. Whatever form that takes I’m game.

「俺たちは抑制されないといけない。どのような形であれ、俺は乗り気だ」

しかし、スティーブは反対の立場です。彼のスタンスは、予告編2の0:52のセリフで説明されます。

If I see a situation pointed South, I can’t ignore it.

「事態が悪い方向に向かっているのを見てしまうと、無視できないんだ」

“go south” というのは、物事や事態が悪くなることを意味する表現です。つまりスティーブが言いたいのは、苦しんでいる人を見ると助けたくなる、曲がったことが嫌いだ、つまり彼は(周りに多少の迷惑をかけてでも)正義を貫くことを優先すべきという考えなので、ソコヴィア協定に反対なのです。

また、トニーとスティーブの関係をさらに複雑にするのが、銀色の腕をもったウィンター・ソルジャー(バッキー)。

彼のバックスストーリーを説明すると、キャプテン・アメリカのシリーズ1作目と2作目のネタバレになるので、ここではあえて説明しませんが、トニーとバッキーはもともと親友でした。この友情が、アベンジャーズに大きな試練を与えます。

原作コミックをご存知なら、これまでのマーベル映画を見ていなくても、劇中の様々なサプライズも理解できると思いますが、日本の一般的な映画ファンのほとんどは予備知識がないと思うので、これまでのマーベル作品を鑑賞してから「シビル・ウォー」を見ることをお勧めします。

「過去12作を全部見る時間なんてねえよ」と思った方は、アベンジャーズ1と2、そしてキャプテン・アメリカの1と2をチェックすれば大丈夫だと思います。

「キャプテン・アメリカ:シビル・ウォー」のレンタルは開始されています。興味のある方は是非ご鑑賞ください。

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