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トランプの就任演説を書いたのは首席戦略官スティーブ・バノン

1月18日、トランプはフロリダの別荘で就任演説を書く自身の姿をツイートしました。しかし、その写真を見れば誰でも違和感を感じるはずです。

いまどき原稿を手書きする人なんて少ないでしょうし、太いマーカーを使う人なんていません。これは誰がどう見ても、適当にポーズをとっています。はたしてトランプは本当に就任演説を自分で書いたのでしょうか?21日の就任演説が示唆したのは NO でした。

トランプは自分が大好きです。だから普通に考えれば、センテンスの主語は自然と I になることが多くなるはずです。しかし、この演説で I は3回しか使われませんでした。一方で We の使用回数は50回。トランプらしくありません。

真相はウォール・ストリート・ジャーナルの取材で明らかになりました。演説を書いたのはトランプ本人ではなく、彼のアドバイザーであるスティーブン・ミラーと首席戦略官スティーブ・バノンだったのです。

トランプの就任演説はそのあまりの暗さに酷評されました。例えば、いまのアメリカ像は以下のように描かれています。

Mothers and children trapped in poverty in our inner cities, rusted out factories scattered like tombstone across the landscape of our nation, an education system flush with cash, but which leaves our young and beautiful students deprived of all knowledge and the crime and the gangs and the drugs that have stolen too many lives and robbed our country of so much unrealized potential. This American carnage stops right here and stops right now.

母親や子供たちはスラム街の貧困と、我が国の景色に墓石のように散らばる錆びついた工場に囚われている。教育システムの景気は良くても、若くて美しい生徒に全ての知識は与えられていない。犯罪とギャングとドラッグは多くの命を奪い、我が国に眠っている潜在能力をも取り上げる。このようなアメリカの大虐殺はここで終わり、いますぐ終わるのだ。

このように、スピーチの中で描かれたアメリカは絶望的で荒涼としています。以下の言葉はアメリカの就任演説で初めて使われましたが、とくに目立つのはネガティブな単語です。

この演説はワシントンの政治家を痛烈に批判しています。これまで富がアメリカ国内のミドル・クラスに分配されず世界に分配されていったのは、ワシントンの政治家たちが止めなかったからだと。だから今回、政権が政治的アウトサイダーに移譲されることは、権力が人々に戻ることを意味するのだと訴えます。

その「人々に権力を返す」(giving it back to you, the people)という言葉は、映画「ダークナイト・ライジング」の悪役ベインそっくりだと話題になりました。

しかし、スティーブ・バノンの世界観を知っている人ならこのことに驚かないでしょう。これがラストベルトの人たち、生活の苦しいミドル・クラスの人々、そしてティーパーティーを支持してきた「忘れられた人々」に向けて書かれたスピーチだと考えれば、そのダークな描写に意外性はなく、リアルなアメリカ像に思えます。

さらに、元海軍将校、ハーバード卒、元ゴールドマンサックス勤務、元映画プロデューサーという経歴を持つスティーブ・バノンは、その賢さとアグレッシブさから武闘派として知られていますが、むしろ「ダークさ」を良いことだと思っています。

バノンはハリウッド・レポーターの取材で、こう言っています。

“Darkness is good…Dick Cheney. Darth Vader. Satan. That’s power. It only helps us when they (liberals and the media) get it wrong. When they’re blind to who we are and what we’re doing.”

ダークは良い。ディック・チェイニー。ダース・ベイダー。サタン。それは権力だ。俺たちが誰で何をしているのか、彼らが(リベラルやメディア)わかっていない方が自分たちにとっていいんだ。

レイシストのレッテルをはられているバノンは、人々に恐れられる方が自分たちにとって得になるのだと主張します。リベラルやメディアの視線は、バノンが本当に達成しようとしていることに向かうことなく、本質ではない別の部分に向けられるからです。

そんなバノンはあくまで首席戦略官なので任期はありません。彼はトランプの再選だけでなく、これから数十年にわたる支配を目論んでいるようです。

“I’m not a white nationalist, I’m a nationalist. I’m an economic nationalist…The globalists gutted the American working class and created a middle class in Asia. The issue now is about Americans looking to not get f—ed over. If we deliver…we’ll get 60 percent of the white vote, and 40 percent of the black and Hispanic vote and we’ll govern for 50 years. That’s what the Democrats missed. They were talking to these people with companies with a $9 billion market cap employing nine people. It’s not reality. They lost sight of what the world is about.”

俺は白人ナショナリストじゃない。俺はナショナリストだ。俺は経済的ナショナリストだ。グローバリストはアメリカのワーキング・クラスをないがしろにして、アジアにミドル・クラスを作ったんだ。これからの問題はアメリカ人がはめられないようにすることだ。もし俺たちが結果を出せたら、(2020年の選挙で)白人層からは60%、黒人やヒスパニックからは40%の票を獲得して、50年間支配するつもりだ。民主党はその機会を逃したんだ。彼らは時価総額90億の会社でありながら9人しか雇っていないような人間たちと話をしているんだ。それは現実とはかけ離れている。彼らは世界が何か見失ったんだ。

トランプは部下に競争をさせるのが好きなことで有名です。今回のスピーチを書いたのはバノンですし、さらに彼は国家安全保障会議のメンバーにもなりました。いまトランプ・チームで一番影響力があるのは、スティーブ・バノンでしょう。

 

 

 

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Category:コラム:オーパス通信,政治・文化