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トランプの時代に備えよ

今週ヒラリーが倒れてしまったので、トランプの勝利が確実になってきました。彼女の病気が何であれ、911テロの記念式典で立てなくなったのは致命的です。いつ倒れてしまうかわからないような人を、はたしてアメリカ国民が国家の最高司令官として選ぶでしょうか。

トランプが大統領になれば、日本の未来にも大きく影響を及ぼすでしょう。彼の動向は注視しなければなりませんが、どうも世界のメディアも日本のメディアも嫌悪感丸出しであるがゆえ、トランプを冷静に理解しているようには思えません。

それを顕著に感じたのは先月、トランプのメキシコ訪問が日本で報じられたときです。なぜニエト大統領がわざわざ彼を招いたのか未だに理解できませんが、それはさておき、トランプの電撃訪問とその帰国後に行われた演説での発言が食い違っていたことを、日本では「二枚舌外交」と表現されていました。

トランプの言動は意図的なパフォーマンス

しかし、彼が二枚舌に見えるのは、それがパフォーマンスの一部であるからです。無能なゆえに発言が食い違っているわけではありません。たしかにトランプには勉強不足なトピックが沢山あります。ただ、過去にもこのコラムで説明したように、彼がバカなわけではありません。

トランプのショッキングな発言の多くは、目的を達成するためにあります。大統領として当選されるには、広大なアメリカ中に自分の主張や公約を伝えないといけません。しかし、それがオブラートに包まれた退屈な言葉で、はたして全米に浸透するでしょうか。彼は意図して過激な言葉を選んでいるのです。たとえば、以下はアフリカ系アメリカ人有権者に向けての発言です。

Look how much African American communities have suffered under Democratic control. To those I say the following: What do you have to lose by trying something new like Trump? What do you have to lose? I say it again what do you have to lose? Look, what do you have to lose? You’re living in poverty, your school is no good, you have no jobs, 58% of your youth is unemployed. What the hell do you have to lose?

民主党政権下でどれだけのアフリカ系アメリカ人コミュニティが苦しんだか見てみなさい。彼らには以下のことを言おう。トランプみたいな新しい候補を試してみて何を失うというのだ?何を失うというのだ?もう一度、言おう。何を失うんだ?ほら、何を失うというのだ?君たちの生活は貧しく、学校もダメ、仕事もなく、若者の58%は無職だ。いったい何を失うというのだ?

すなわち「すでにお前らは悲惨なんだから、俺に投票しても失うものなんて何もないだろ。だったら俺に投票してもいいじゃないか」と言っているのです。普通の政治家なら失職するような挑発的発言ですが、意図して建前のない本音トークをするから新聞、テレビ、ネットでメッセージが行き届くのです。

米メディアは彼の発言だけでなく、選挙資金集めの難航を報じることで、常にトランプを笑い者にしようとしますが、結局そのように与えているスポットライトは、かえって彼にとってプラスに働きます。なぜならトランプは無料でメディア露出を維持できるため、膨大な広告費をかけずに済むからです。

トランプの公約はある種のブラフ

トランプ反対派はいつも彼の物議をかもすような公約に翻弄されていますが、これもある意味ブラフです。




想像してみてください。たとえば、大阪府知事が大阪府全域を経済特区にする!という公約を上げるとします。すると、日本中が大騒ぎするでしょう。しかし紆余曲折を経た末に、大阪市だけが経済特区になったとします。はたから見れば、大阪市が経済特区になったのは「歩み寄り」の結果ですが、実は本当の現実的目標が、「とりあえず大阪市だけでも経済特区になったらそれで大成功」だったとしたら?

つまりトランプは最初のプレゼン(演説)でありえない案を出すことでみんなの注目と支持を得ながら、なおかつそのプランを最終的には実現可能レベルにまで下げていき、表向きには公表していなかった現実的な目標を目指す、これが彼の手法なのです。また、そうして「softening(柔らかくなること)」「妥協」「譲歩」のイリュージョンを演出することで、反対派の影響力も奪っていくのです。

現にトランプは去年12月に「イスラム教徒のアメリカ入国を全面的に禁止する」という驚きの公約を挙げましたが、今では「extreme vetting(過剰な審査)をして受け入れる」という現実的な方針に切り替えています。Extreme vetting というのは、反米的思想の持ち主の入国・移民を阻止することです。たとえば、もしもイスラム教徒が「同性愛者を許容できない」と審査で答えたら入国できなくなるということです。

政策をコロコロ変えすぎだと批判されていますが、ビジネスマンであるトランプにとっての問題は実用的かどうかであるので、米メディアは揚げ足を取っているだけにしか見えないのが現状です。おそらくメキシコとの国境沿いに作る「壁」も最終的には、なんらかの “譲歩案” になるでしょう。

トランプと日本の交渉

トランプが大統領になれば、日本に対しても同じことをするはずです。もしトランプ政権が発足すれば、自国の財政を立て直すための一環として、日本が負担する在日米軍のコスト引き上げの交渉を始めるでしょう。前述のように、まず大きな要求をしてから、現実的な規模にまで下げていくはずなので、おそらく最初は日本人がびっくりするような負担額を要求してくるはずです。

ただ、忘れてはならないのが過去の発言です。このコラムで紹介したように、トランプは「負担増に合意させるためには、アメリカ軍の日本撤退も辞さないことを、彼らに本気でわからせないといけない」という旨のコメントをしています。日本は地政学的に重要なので、アメリカ軍が本当に撤退することは絶対にないと思いますが、それでも彼は大きな賭けに出るでしょう。

トランプは日本政府に自分たちが本気であると信じ込ませるために、日本の政治家や役人が心の底から戸惑うようなブラフをまず仕掛けてくる、と私は予想しています。というのも口だけではインパクトがありません。

もし私がトランプなら「辺野古基地の計画を一方的に中止する」という動きに出て様子を見ます。

想像してみてください。日本政府にしてみれば、これまで滞っていた沖縄の基地移設計画は、数々の反対運動や訴訟を乗り越えてやっと動き出したわけです。しかし、突然アメリカ側から計画を中止すると通告されたら、日本の政府はどう反応するでしょうか?あなたがもしも現場の人なら喜びますか?それとも不安になると思いますか?

日本のメディアも基地移設中止を素直に喜ぶべきなのかどうかわからず、とりあえずトランプ叩きに終始するはずですが、これでは彼の思う壺です。このシナリオは日本が軍事的に独立するチャンスにもなりえますが、問題ははたして日本の政府がそこまで思い切った行動に出るかどうかです。

まとめ

とにかく、もしトランプ政権の脅しが始まっても、大事なのは日本が耐えることです。然もなくば、これまで以上にお金をとられてしまいます。また、政府は最悪のシナリオにいつでも対応できるように、トランプの時代に備えて今のうちから対米外交のシュミレーションをしておくべきでしょう。

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